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作業療法士とは
作業療法士は、患者さんが持っている「自分らしさ」とは何かを想像し、「自分らしい」人生を送れるよう支援する仕事です。「自分らしさ」は個人によって異なりますので、作業療法士が行う支援も患者さんの数だけ存在します。ですから「作業療法とは?」と聞かれたとき、明確な答えや正解を出すことは難しいのです。
このページでは、5人の作業療法士が自分なりの職業観、仕事の醍醐味、奮闘記をつづっています。これは作業療法のほんの一部分に過ぎません。しかし少しでも作業療法について興味を持っていただく機会になればと思っています。
「何でも屋」作業療法士!
在宅の作業療法
椋田 里美さん
■私の作業療法
皆さんにとって、家とはどのようなものですか?多くの方にとって、一番過ごしやすい場所なのではないでしょうか。
しかし身体に障害を持たれた患者さんの場合はどうでしょう?環境が整った病院や施設ではできることでも、自宅ではできなくなってしまうことがあります。患者さんにとって自宅で生活することは案外難しいのです。
訪問リハビリテーションでは、患者さんのご自宅に直接訪問して、起き上がり、歩行、食事、トイレ、入浴といった日常生活全般の練習を行います。より安定した動作が行えるように、ポイントを分かり易く指導したり、介護者であるご家族に対しても、動作方法や介助方法を具体的に指導します。
同時に居住環境や生活スタイルの把握をした上で、手すりの設置や段差の解消など、住宅環境に関するアドバイスも行います。また障害を持ちながら自宅で生活することで、気持ちが滅入ってしまう方もいます。そうした方々には気晴らしや生きがい作りのお手伝いも重要です。
訪問リハビリテーションは「住み慣れた家で、自分らしい生活を送る」ための総合的な支援サービスなのです。
訪問リハビリテーションは、幅広い知識やいろいろな患者さんに合わせられる柔軟性が必要です。
その理由は、対象がお子さんから高齢者までと幅広く、かつ難病や終末期(死を目前にされている)など病状も様々だからです。ご家族やヘルパーさんからは、身体の動きのことばかりだけではなく、食事のこと(栄養面・食べる方法・便利な道具などの紹介など)・利用可能なサービスのこと・これからどのように病気が進行していくのかなど、様々な質問がなげかけられます。
訪問での作業療法士の立場は、「訓練する人」というよりも「これからの生活を一緒に考える人」「何でも相談にのってくれる人」という感じでしょうか。訪問リハビリテーションは、作業療法士が患者さんにとって最も身近な存在になれる現場だと感じています。
私自身、まだまだ経験不足です。休みの日にも、自己研鑽のため勉強会に出席したり、患者さんの生活を支援するための道具作りなどで動き回っています。
でも日々の仕事にやりがいと楽しみを感じることができて、作業療法士の道を選んで良かったと思っています。
「延命治療」という言葉を知っていますか? 「病気を治す」治療ではなく「命を延ばす」治療です。
延命治療の現場に立つと「患者さんはどのような最期を迎えたいのだろうか」、「人生を全うするということはどんなことだろうか」という思いに駆られます。
しかし机上の勉強とは違い、決められた正解はないのです。それでもご本人やご家族と共に考え、悩み、患者さんの「自分らしい最期」に近づけるよう、力を尽くしています。命について考える・・・これも作業療法士としての大切な仕事です。