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作業療法士の力
現場の作業療法士がどんな場面で「力」を発揮しているのか。ぜひご覧ください。
翻訳本の出版を通じて -岩城哲さん
高校生の頃、通学電車のなかで英単語帳を開き、丸暗記に勤しんでいました。受験のための英語学習が、将来何の役に立つのか、その当時はイメージすることは出来ませんでした。作業療法士になった今、(医療業界の公用語が英語であるため)英語雑誌を読む機会も多くなり、情報収集のツールとして英語が役に立っています。…ここまでは、よくある話です。“持ち前の英語力と作業療法士としての経験”をもとに、翻訳チームの総指揮・大手出版社への原稿売り込み、そして翻訳本の出版。作業療法士の仕事って、無限大なんですね。
今回、私たちが翻訳出版した『子どもの手の機能と発達-治療的介入の基礎-』は、「子どもの手の機能」に焦点をあてた非常に珍しい本です。この本は、手の発達や手に障害をもった子ども達に対するリハビリテーションの方法を、450ページ以上にわたり詳しく解説しています。言わば、病院や学校の先生のための参考書のような本です。原著本『HAND FUNCTION IN THE CHILD-FOUNDATIONS FOR REMEDIATION-』に出会ったのは、米国オハイオ州立大学大学院に留学中のことでした。当時、私は赤ちゃんの手に関する研究を行っていたのですが、この本は「子どもの手の機能」にスポットを当てた、“世界的にも類例のない本”でした。帰国後、この本を「子どもに関わる専門職すべての方々に、読んでもらいたい」という思いを強くしました。そこで、一人でも多くの人に手に取ってもらい、リハビリテーションや教育の手引書として役立ててもらうために、翻訳本を出版したいと考えました。
私の呼びかけに賛同して下さった総勢13名(医師、解剖学者、言語聴覚士、言語学者、心理学者、そして作業療法士)で翻訳チームを発足し、翻訳作業を進めました。チームの発足から3年後の2010年6月『子どもの手の機能と発達-治療的介入の基礎-』発刊となり、今回皆様にご報告できることとなりました。この紙面を借りて、多くの方々のご協力・ご支援賜りましたことに、深く御礼申し上げます。
2011年05月08日【18】