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作業療法士の力

現場の作業療法士がどんな場面で「力」を発揮しているのか。ぜひご覧ください。

最近の記事

作業療法へ参加して頂く為に-二宮 大輔さん

私の働いている都城新生病院は、精神科一般病棟と療養病棟の計390床の精神科病院です。当院では、統合失調症、気分障害、人格障害、精神遅滞、認知症などを診断名とされている入院患者様への作業療法を行っています。

私は、一般病棟に入院中で臥床傾向にあり活動性が低下している患者様(意欲が低下している患者様)、作業療法に拒否を示される患者様への関わりに特に力を入れています。作業療法の実施場所、種目、誘導時の声かけに工夫をして、1度でもいいので作業療法に参加していただきたいと思っています。たとえば、病棟内で卓球をすることもあります。作業療法に誘っても、興味を示さない方やを横に振る方もいますが、他の患者様が病棟スタッフが楽しそうに卓球をしている場面を見ると、途中からでも参加されたり、様子を覗かれる方が出てきます。そして作業療法士は、そのような患者様に対して雑談を交えての声かけをして、徐々に作業療法に誘いだします。作業療法に出てこれるようになること自体、大きな心の変化なのです。
卓球は一つの例えですが、音楽鑑賞会では事前に曲の希望をとって随時新しい曲を増やしたりと作業療法に興味を持っていただくための工夫は様々です。作業療法に対して拒否のあった患者様や臥床時間の多い患者様が活動内で他患者様と笑いながら交流を取っている様子を見ると、患者様の生活に少しでもハリを与えられたと実感でき、それが私自身のパワーにもなっています。

今回紹介した病棟での作業療法への参加延べ人数回数を比較してみました。昨年5月は151名、今年5月は230名と約80名も増加しています。(実施日数はどちらも23日間)多くの患者様が参加できるよう、曜日毎に種目・形態・場所も変えています。患者様の病棟移動や退院などもあり、一概に声かけや種目により増加したとは言えないですが、1つの要因にはなっていると思います。このような作業療法を通じ、私は社会復帰に向けた活動へとつなげたいと思っています。作業療法士や病棟スタッフ、他職種の方々だけでなく、患者様と共に、1日1日、1歩ずつ充実した作業療法を作り上げたいと思います。

固定リンク | 2011年06月25日【20】

さまざまな「手」との出会い -田代夕貴さん

私の働いている宮崎善仁会病はER(Emergency Room;救急救命室)のある救急病院です。365日24時間体制で診療を行っており、毎日たくさんの患者様が救急搬送されてこられます。リハビリテーションの対象になる方も受傷後早期の方が大半を占めています。
 私達作業療法士は“不慮の事故”などで腕や手に骨折や外傷を負った整形外科疾患の方を主に担当しています。
 
作業療法士として働き出してから、様々な“患者様の手”との出会いがありました。私たちは普段、健康であれば“手の存在”を意識することはないでしょう。しかし、意識しながら手の働きぶりを見てみると、実に様々な作業を生み出してくれていることに気付かされます。日常生活の作業についてはもちろんですが、仕事や趣味においても、片腕いいえ指一本でさえ不自由であれば、満足にできないことばかりではないでしょうか。

患者様一人ひとり、異なる人生を歩んでいるからこそ、その手にも各々異なる役割が与えられています。例えば、バスケットボールの試合を控えている高校生の“手”、家事をして家族を支えるお母さんの“手”、大好きなギターやピアノを弾くための“手”、農業を営み土に触れ、力仕事をする大きな“手”・・・・。作業療法士は、歴史の詰まった“患者様の手”と向き合い、同じ目標に向かってリハビリをしていきます。元通りに手を動かせることだけでなく、ケガによって喪失した手の機能を、装具という器具によって補うことを目指すこともあります。「何が自分にとって一番大切か、何ができないと困るのか…」、作業療法士は患者様と共に解決方法を考える仕事だと思います。

私は作業療法士として、患者様の“手”に触れさせてもらうことで、同時にその方の人生にも少しだけ触れているのだと思います。色々な感性、価値観、人生観を知ることができ、それらはこれから出会う患者様のリハビリや自分の人生の糧になっているようです。作業療法士としても、人間としても、まだまだ未熟で悩むことも沢山ありますが、私はこのような経験ができる作業療法士という仕事が大好きです。これからも知識・技術はもちろんですが、患者様に寄りそえるような感性を磨いていきたいです。

固定リンク | 2011年05月08日【19】

翻訳本の出版を通じて -岩城哲さん

高校生の頃、通学電車のなかで英単語帳を開き、丸暗記に勤しんでいました。受験のための英語学習が、将来何の役に立つのか、その当時はイメージすることは出来ませんでした。作業療法士になった今、(医療業界の公用語が英語であるため)英語雑誌を読む機会も多くなり、情報収集のツールとして英語が役に立っています。…ここまでは、よくある話です。“持ち前の英語力と作業療法士としての経験”をもとに、翻訳チームの総指揮・大手出版社への原稿売り込み、そして翻訳本の出版。作業療法士の仕事って、無限大なんですね。

今回、私たちが翻訳出版した『子どもの手の機能と発達-治療的介入の基礎-』は、「子どもの手の機能」に焦点をあてた非常に珍しい本です。この本は、手の発達や手に障害をもった子ども達に対するリハビリテーションの方法を、450ページ以上にわたり詳しく解説しています。言わば、病院や学校の先生のための参考書のような本です。原著本『HAND FUNCTION IN THE CHILD-FOUNDATIONS FOR REMEDIATION-』に出会ったのは、米国オハイオ州立大学大学院に留学中のことでした。当時、私は赤ちゃんの手に関する研究を行っていたのですが、この本は「子どもの手の機能」にスポットを当てた、“世界的にも類例のない本”でした。帰国後、この本を「子どもに関わる専門職すべての方々に、読んでもらいたい」という思いを強くしました。そこで、一人でも多くの人に手に取ってもらい、リハビリテーションや教育の手引書として役立ててもらうために、翻訳本を出版したいと考えました。
私の呼びかけに賛同して下さった総勢13名(医師、解剖学者、言語聴覚士、言語学者、心理学者、そして作業療法士)で翻訳チームを発足し、翻訳作業を進めました。チームの発足から3年後の2010年6月『子どもの手の機能と発達-治療的介入の基礎-』発刊となり、今回皆様にご報告できることとなりました。この紙面を借りて、多くの方々のご協力・ご支援賜りましたことに、深く御礼申し上げます。

固定リンク | 2011年05月08日【18】

地域復帰に向けた調理訓練

 精神科に入院していた方が、退院するためには様々なハードルがあります。たとえば病院ではできていたことが、退院先ではできないことがあります。それには、病院と退院先の環境の違いが大きく関係している場合があります。病院でできていることを、退院先でもできるようにするためには、病院に居ながら自宅の環境を想定することが大切だということを学んだケースについてお話します。
 Aさんは、退院して生活をするため、一人で調理をできるようになることを目標として調理実習を行っていました。しかし施設内の調理室は広く、実際の退院先のキッチンとは、かけ離れた環境です。Aさんは調理室の広いスペースに道具や食材をすべて出して作業を行っていました。しかし狭いキッチンで道具や食材を全て出し調理を行うことは難しいのが現状です。そこで狭いキッチンを想定して必要なときに道具・食材を出し、必要が無いときは片付けるという手順をAさんと話し合いながら決定していきました。また退院後の調理をイメージしていただくため、一緒に退院先に行き、退院先のキッチンを使って調理実習を行った方もいました。より現実場面に近い環境を想定し調理訓練を行ったことで、退院後の自分の生活をイメージでき、退院先への生活へスムーズに移行できたのではないかなと感じました。Aさんは今でも調理を行いながら退院先で生活することができています。このように生活に密着した関わりができることも作業療法の魅力です。
 私は現在、精神科デイケアで、住み慣れた地域で生活をしている方へ作業療法を行っています。そのような方の中には病状が不安定となり、入退院を繰り返す方もまれではありません。住み慣れた地域で生活し続けられるよう、臨床心理士らとも協力し、病気とうまく付き合う方法を提案していきます。

病気とうまく付き合う方法を教えます!
病気のメカニズム(仕組み)や特徴
病気が再発する時ときの兆候
薬の作用・副作用
ストレスとの付きあい方 など


 また自分のものの考え方や受け取り方を知り、より広い視野で考えられるようになることが病気の再発予防へと繋がっていきます。そのため病気と上手く付き合う方法を指導した際に使用した資料を用いて、一緒に振り返りをします。実際にこのような取組みの結果、病状が落ち着いた方もいました。
 これでいいのだろうかと感じながら仕事をすることもありますが、患者様が住み慣れた地域で楽しく生活を送っていただけるよう、患者様と一緒にその方法を探していきたいと思います。

固定リンク | 2009年06月27日【16】

自動車運転再開への支援

 脳卒中などで入院している患者様の中には、退院後に再び自動車を運転したいと希望される方がいます。その理由は、仕事や通勤、家族の送迎、買い物に行く等の移動手段や、家族と遠出をする等のレクリエーション目的など様々です。
 運転をするには、ハンドルやアクセル・ブレーキの操作等の手足の動きに加え、左右の標識や歩行者、他車への気配り、運転に集中する注意力、危険回避の判断、標識の理解といった能力が必要となってきます。この能力は脳の機能によって円滑に行われます。しかし脳卒中の患者様は、体の半分が麻痺してしまうだけではなく、脳の機能まで障害されてしまうことがあります。その為、患者様が運転を行うことを希望された場合、運転が可能かどうかを検査する必要性があります。これらは、両手足の動きが障害される脊髄の病気を持つ患者様も対象となります。
 当院では、患者様の運転再開に向けて以下の対応を行っています。まず、手足の運動機能、筋力、体力等の身体面の運動機能の検査や、注意力、判断力、理解力等の目に見えない脳の機能を検査します。そしてそれらだけでは、運転が正しく行えるかの判断が難しい場合では、教習所に協力してもらい、実際に車に乗り運転を行います。教習所では運転技術に詳しい教官と共に私達作業療法士も患者様の運転する自動車に乗ります。教官は主に運転技術的な面の確認をしますが、私達作業療法士は、技術的な面に加えて注意力や判断力、理解力等の脳の機能の障害が、運転に影響していないかを確認します。例えば、注意力が欠けている点がみられる際は、教習所の教官に事前に連絡し、横断歩道や交差点など注意を必要とする場面を多く設けたりするなど、教官と協力して、患者様が適切に判断できるかを確認します。
 運転後は、実際の運転と病院内で行った検査を合わせて、運転が可能かどうか作業療法評価として判断し、主治医に報告します。運転が可能な方には必要であれば、改造車の説明や、福祉制度の話を説明したり、運転前には運転免許センターに相談することを勧めたりと運転再開にむけて慎重に取り組みます。
 作業療法士は病院の中で患者様のリハビリをするだけではなく、退院後の生活に応じて、他機関の方とも協力して患者様の生活を支援していきます。

固定リンク | 2009年06月27日【15】

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