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作業療法士ファイル

同じ作業療法士でも、作業療法士になろうと思ったきっかけや職業感、興味を持っていることは様々。作業療法士の生の声を感じてください。

最近の記事

作業療法士ファイル 008 若草病院 西久保 洋気さん

思春期病棟での関わりを通して
 当院には現在、20歳未満の患者さんを中心に受け入れている思春期病棟があります。 入院している方
の多くは適応障害でありますが、アスペルガー症候群、統合失調症、うつ病など、さまざまな方が入院し
ています。

 適応障害とは、自宅や学校などの、ある社会環境においてうまく適応できず、心身に様々な症状を呈する状態のことをよびます。 当院に入院しているそのような患者さんの多くは、対人関係をうまく構成することができず、他者に対して心を開いて接することが苦手であり、心を開ける相手に対し強い依存傾向を示す場合もあります。私が思春期病棟での作業療法に関わってそれを実感し、心と心のやりとりの重要性を感じた適応障害のケースについてご紹介します。

 A氏は、初めて作業療法士と関わりをもった時には、表情が硬く、目を合わようともしない状態でした。活動に参加意欲がなく、スタッフの促しの声かけに対しても、時には苦悶な表情をうかべることすらありました。 A氏は入院前、特定の人に依存し、学校など多くの人が集まる環境にストレスを感じており、入院後も特定の患者さんと常に行動を共にされ、それ以外の人と交流を拒絶している状況でした。 そこで、少しでもA氏とのコミュニケーションを図るために、A氏と関係の築けているスタッフと共にピアノやトランプをするなどの関わりを始めていきましたが、「うざい」「寄るな」などの暴言をいわれることもしばしばありました。 しかし、そのスタッフと3人でA氏の家庭の悩みを相談しあったところ、少しずつではありましたが私の話しを聞いてくれるようになり、最終的にはA氏から相談を持ちかけてくるなど一対一の関係ができていきました。 A氏は現在では、個人的に相談を持ちかけてくるなどの関係性が築けています。 関係を築くということは簡単ではありませんが、心のやりとりでお互いに信頼しあえることは、精神科で作業療法を行っていく魅力であると思います。

 思春期の青少年には、その年代にしかない家庭や学校の悩みなどがあります。 必要なときに親からの愛情を受けずに育ってきている方も入院されています。 そのようなケースの多くは非行にはしる、うつ状態になり自殺を図るなどの行動が見られます。 患者さんの抱えているストレスを軽減していき、非行などの行動に対して「教育」という観点からも治療を行っていくことが重要であると考えます。

 患者さんにとってなにが必要なのか日々悩む毎日ですが、一人でも多くの方が社会に出て自立していけるよう、医師や看護師との連携を図りながら取り組んでいます。

固定リンク | 2011年01月08日【9】

作業療法士ファイル.007 平田東九州病院 鋤田千穂さん

作業療法士ファイルNo.007
平田東九州病院 総合リハビリテーション部
作業療法科 鋤田 千穂さん

 私は、九州で二番目に面積の広い延岡市にある平田東九州病院で作業療法士をしています。平成21年4月から新築した病院で多くのスタッフとともに毎日働いています。
 延岡市は、城下町として栄えた史跡、海と山が調和したとても自然の豊かな地域です。日本夜景遺産に認定されている市の中心にある愛宕山からの市街地や日向灘は絶景です。

1.高校生の頃の夢

 小学生の頃から、私は看護師になりたいと日々将来の夢を抱いていました。高校生の夏休みの職業体験で1日看護体験をした時に、リハビリテーションと出会いました。最初はただなんとなく興味を持っていましたが、その後、作業療法士について調べていくうちに、小児のリハビリにも携われると知り、この仕事に就きたいと思い、リハビリテーション専門学校へ進学を決意しました。
 臨床実習ではそれまで学んできた作業療法の知識だけでは解決できないこと、考え方の不十分さから悩むこともありましたが、患者さんたちと触れ合い関わる中で作業療法の奥深さと広い視野を持って勉強していく大切さを学びました。


2.海外での作業療法、日本での作業療法

 今の病院で働く前に2年間青年海外協力隊員として開発途上国であるコスタリカの養護学校へ派遣されました。そこでは、リハビリテーションという言葉さえもまだ浸透していない状態でした。そんな中、周りの人々を巻き込みながら、作業療法を行い、子供たちが見せてくれる太陽のような笑顔が異国での生活を支えてくれました。
 また、学校の外に出て地域の方々へリハビリテーションを広めるため啓発活動を行ってきました。「言葉が通じなくてもこころが通じ合える」自分が「伝えたい!分かり合いたい!!」と思えば、その気持ちは相手に確実に伝わることを学びました。


 帰国してからは、現在の病院で、成人の方からお年寄り、お子さんまで多くの方々のリハビリに携わっています。毎日、患者さんたちが一生懸命リハビリに取り組んでいらっしゃる姿やご家族と話をしていく中で、その笑顔や言葉からたくさんの元気をもらっています。また、患者さんが身の回りの生活動作ができるようになった時、作業活動で作品を完成させた時の達成感は言葉では言い表せない感覚です。また、子供たちが楽しそうにリハビリに来て取り組んでくれる姿を見るたびに、セラピストとしての意欲をかきたてられます。だからこそ、私が作業療法士としてできることはなんだろうと日々悩みながら一杯のことを提供していけるように努力しています。
 作業療法ってなんだろうと思ったら、「百聞は一見に如かず」です。現場へ見に行き、生の声を聞いてください。新しい発見が待っていると思います。

固定リンク | 2009年11月28日【8】

作業療法士ファイル.006 宮崎市総合発達支援センター「あおぞら」松元寛さん

1.宮崎市総合発達支援センターでは… 自閉症・アスペルガー症候群・ADHDなど、コミュニケーションや行動面での問題を抱える子ども達を中心に、作業療法を行っています。
 自閉症・アスペルガー症候群・ADHDなどの診断を受けたお子さんは、揺れや体の動きを感じること、コミュニケーションをとること、気持ちをコントロールすること、などが脳の障害のため難しい場合があります。
 トランポリンなどの遊具を使って自分の体の使い方を学んだり、順番を守るなど、友達と仲良く遊ぶにはどうしたらいいかを学習したりします(写真・)。また、雑音や見えたものが気になって、目の前の課題に集中することが難しいお子さんには、集中できる環境を整える工夫も行います(写真・)。活動内容や時間の見通しをつけてもらうことで、安心して活動に取り組めるようにもなります(写真・)。
 このように、作業療法士は1人1人のお子さんの特徴を理解し、保護者や先生などと協力しながら、お子さんが障害をもちながらも、より楽しく自分らしく成長していくお手伝いをしています。


2.こんな所で…トランポリンやボールプールなど、様々な感覚を楽しむ遊具や、トンネルや梯子など、設定に合わせて、考えながら体を動かす遊具まで、いろんな遊具を組み合わせて使います。(写真・)
書字や工作、手指を使った遊びなど、机に座って様々な活動を行います。目の前の課題に集中できるよう、環境を工夫します。 (写真・)


3.こんなことを…

●予定の確認
訓練の始めから終わりまでの予定を確認して、活動内容や時間の見通しをつけてもらいます。(写真・)

●コミュニケーション
「自分の意思を相手に伝える」という、コミュニケーションの基礎を練習しています。

●ワーク
大人が手助けしなくても、子どもが自分自身で課題を達成することができるような課題を考えます。

●運動遊び
子どもの興味や能力に合わせて、遊具の設定や遊びの内容を変えていきます。


4.こんな魅力が…子ども達はもちろん、保護者(お父さん・お母さんなど)の方の笑顔が見られたり、嬉しい体験を共有できたりする瞬間、自分も嬉しく、「よかった!」と思えます。


主な対象疾患

●自閉症専門の医師の検査で、だいたい次の3つの特徴が3歳くらいまでに確認されると、「自閉症」と診断されます。
・人と上手につきあえない
・コミュニケーションがうまくとれない・言葉の発達が遅れる
・想像力がとぼしい・こだわりがある

●アスペルガー症候群アスペルガー症候群は、自閉症の中でも、知的な遅れが目立たないタイプです。
具体的には、次のような特徴が見られます。
・適切に言葉を使ったり、受け取ることが難しい
・こだわりが強い
・相手の気持ちを感じ取ったり、自分の気持ちをうまく伝えることが難しい

●ADHD自分をコントロールする力が弱く、それが行動面の問題となって現れる障害です。具体的には、次の3つの特徴が見られます。
・注意欠陥(注意力・集中力に欠けること)
・多動性(じっとしてられない・しゃべりすぎる)
・衝動性(だしぬけに何かをしてしまうこと)


5.人とのつながりを大切に…私が高校生だった頃は、『学校の先生になる』という夢を持っていました。しかし、その夢は実現せず、別の仕事をすることになりました。仕事をしながらも、心の中のどこかに『子ども達と関われる仕事がしたい』、という夢が残っていたのだと思います。そんなとき、子ども達の支援をしている作業療法士との出会いがありました。仕事の内容などを聞く中で、『これだ!』と思いました。残っていた夢への情熱が沸き上がってきたのです。勤めていた仕事を辞め、専門学校に入学しました。そしてまた、様々な人との出会いやつながりを通して、今こうして子ども達と関われる場所で、働くことができています。
 人との出会いやつながりが、人生を変えるキッカケになることもあります。また、自分自身を振り返ったり、学ぶこともたくさんあります。これからも、仕事の上でもプライベートでも、人との出会いやつながりを大切にしていきたいと思います

固定リンク | 2009年11月27日【7】

作業療法士ファイル.005 医療法人隆徳会 鶴田病院 宮本 光さん

 私は、西都市中心部にある身体障害領域の鶴田病院で作業療法士として働いています。私自身、働くまで西都市の事をほとんど知りませんでしたが、入院患者さんや病院スタッフに名所や美味しい食べ物など色々と教えてもらい、少しずつその魅力に気付いてきたところです。比較的温暖な気候で自然が多い地域のため農業を営む方も多く、リハビリテーションの対象となるのも高齢者が多くなっています。


1.作業療法との出会いや学校生活
 私の高校3年間は、授業・部活・休日の遊びという生活の繰り返しで「将来の夢」などは考えもしていませんでした。OTを目指したのは、進路に悩んでいた時期、様々な専門学校の集まる進学相談会に参加したのがきっかけでした。その中で、「身体も“こころも”リハビリする仕事」というフレーズに魅かれ、普通科高校出身者が多い中、宮崎工業高校から専門学校に入学しました。その事もあり、3年間の勉強は負けん気だけでやってきた気がします。ボランティアにも積極的に参加しました。また、毎年の臨床実習も素晴らしい指導者の先生方と出会い、乗り越えることができました。このような勉強や実習はもちろん、専門学校ならではの社会人経験者が多い環境での学校生活も、私を人間的に成長させてくれたのだと強く感じています。



2.“身体”も“こころ”も療法できる作業療法
 ある患者さんとの出会いが、私の作業療法観の源となりました。その方は、私が担当した時は寝たきりに近く、声かけに対し表情の変化もなく無反応で記憶も曖昧な状態でした。働き始めたばかりで何をすればいいか分からず悩んでいましたが、毎日お部屋へ伺い手を握りながら話しかけ、運動中に「1・2・3・4!!」と声を出して数えてもらい、晴れた日には散歩に行くなどして関わっていきました。そうしてしばらく経つと、次第に私に笑顔で声をかけてくれるようになり、意欲的に立つ・歯を磨くなどの練習ができるようになりました。この時、身体だけでなく“こころ”も動いたのだと感じました。現在も私が顔を出すと「光ちゃんじゃがね?」と笑顔で迎えてくれます。
 この体験もあり、私は3つの将来的な目標を立てました。それは「身体も精神(こころ)も療法出来る」、「自分と周り全ての環境を利用できる」、「精神(こころ)を動かすことができる」作業療法士になることです。どれも当たり前なことのようですが、身体障害領域で働く私自身、身体だけでなくこころを動かす重要性を体験を通して実感したからです。
 私はこれまで、様々な出会いの中で成長させてもらったのだと思います。まだまだ未熟な作業療法士1年生ですが、今後も多くの出会いを大切に日々邁進していきたいと考えています。

固定リンク | 2009年04月21日【6】

作業療法file 004 介護老人保健施設 神楽苑 江口 奈央さん(宮崎日大高校出身)

 私は、宮崎県高千穂町にある介護老人保健施設神楽苑というところで作業療法士をしています。テレビなどでよく取り上げられる「高千穂町」なので、皆さんもご存知かと思いますが、とにかく山、山、山…の地域です。したがって交通の便が悪かったり、買い物に困ることもあります。しかし裏を返せば、穏やかな時間の流れと地域の方々の親切さがセールスポイントなのです。また「がまだせ(=一生懸命働く)節」という踊りがあるくらい働き者が多く、牛養い(肉牛の飼育)や田んぼ、畑仕事が主流の地域です。

1.作業療法士をめざすきっかけ
 「作業療法士って何?…リハビリ?…ふうーん。なんか、よさそうかも」という曖昧な動機で作業療法の大学に入学しました。入学して1ヶ月、「キャンパスライフ」とやらを楽しみにしていましたが、怒涛のような講義に、こんな曖昧な動機でめざす職業ではないことにすぐに気づかされました。そして大学の先生方の熱心な指導の下、大学3年のときに、ようやく本気で作業療法士を目指すようになりました。就職して、学生のときにもっと真剣に勉強しておけばよかったという後悔をしたからこそ、日々勉強に励む大切さを強く感じています。

2.作業療法のお仕事
 「作業療法士」というと、患者さんに「先生」と呼ばれる事もある(病院、施設によって違います)職業なのですが、実際、「先生」と呼ばれると、その責任に押しつぶされそうなときがあります。「果たして、先生と呼ばれるだけの仕事ができているのか?」と自問自答の毎日です。しかし、楽しいこともあります。利用者さんと一緒に笑ったり、泣いたり、利用者さんに学ばせていただいたり、私自身、作業療法の時間を楽しんでいるように思います。私が作業療法で対象としている方は、ほとんどが認知症の方で、うまくお話ができなかったり、常に不安を抱いている方々です。しかし、作業を介することで、言葉では言い表せない「通じ合った感覚」を経験します。この瞬間、作業療法士でよかったと実感します。
 また、作業療法の仕事は、現場の仕事だけではありません。私の施設では、地域の方々との交流を積極的に行っています。したがって、頻繁に小学校・中学校・高校の学生さんたちが、体験実習や見学などで来苑されます。そのような学生さんに「作業療法士」という仕事を紹介することも私の仕事です。作業療法を言葉で説明しようとすると、どうしても教科書的な難しい文句になってしまいがちなので、実際に、利用者さんと一緒に作業を行ってもらい、そのときの楽しさ・難しさなどの「感覚」を体験してもらっています。
 実際に見て・感じて、そして「作業療法士を目指したい!」と思ってもらえるよう、私も日々頑張っていきたいと思います。

固定リンク | 2008年11月25日【5】

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